「心臓がもちません」と言われて、どうしたらいいでしょうか

「母の調子が悪い」と聞いていて、そろそろ年齢だろうから、なんて家族で笑って話をしていました。そんな数日後、家族揃っての夕食時に、母が突然胸のあたりを抑えて、脂汗をかいて、とても苦しそうな表情になり、これはなにかまずいと思って救急車を呼びました。

運ばれた先の三次救急病院で、担当の医師から「心臓がもちません」というようなことを言われました。突然のことで、何を言われているのかよく理解ができずに、兄弟ともう一度聞きなおしました。大動脈解離、と言われました。 聞いたことはあって、この病気は間違いなく死に至る病気だ、と思いました。 母は、いま死ぬのかなと思いましたが、呼ばれたベッドの横で見ていても、心臓の動きにあわせて心電図のモニターの音はなっているし、母の手は暖かいし、目をつぶっているけれど、現実に死が眼のまえに迫っている緊迫感を感じることはできませんでした。「連絡したい方がいれば、早めにご連絡をしてください」と看護師に言われ、誰に連絡したほうがいいのかさえわかりませんでした。確かにもう90歳を超えていて、いつお迎えがきてもおかしくはない年齢ではありましたが、いざその時を迎えるとなると、突然すぎてどうしていいのか、なにをしたらいいのか、まったくわかりませんでした。お見取りとか、テレビドラマや映画でみたことは多いですが、いざ自分事になると人間動けないものだな、とも思いました。あっという間にお看取りがされ、病院から警察へ、そして自宅へ、慌ただしく通夜や葬儀の準備に追われて、気がつけば1か月があっという間に過ぎました。あのとき心臓がもちません、と言われて、もっと何かを聞いておけばよかったかなと思うこともありますが、救急病院の医師や看護師にどう聞いたらいいのかもわかりませんでしたし、何を聞いたらいいのか、でも何かを聞きたかったような気がしています。そんなとき、誰か、家族はもちろん一緒でしたが、この思いを聞いてくれる人がいてくれたらよかったなと思います。

(70代男性)

パーソナルナースのアドバイス

この出来事が起こった後にご縁があった方のお話を伺いました。突然のご家族やお身内の体調不良や緊急事態には、人は誰でも動揺しますし、判断もできなくなります。

このような緊急時には病院の医師や看護師が真摯に対応していますが、医療者とどんな話をしたのか、記憶に残っていないと後からおっしゃる方も少なくありません。

また、このような場面で家族ではない相手に相談しようと思い付いたり、電話をすることはないかもしれません。

ただ、この方のように後からその場面がどうだったか、どうお思いだったか、一緒にお話をすることで、お心の整理のお手伝いができることもあります。

ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ